[Published] Jegosaponin AとBの界面活性作用は半端ない
- 2021/06/14
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オランダから帰国して始めた共同研究の成果がようやく形になりました!
うちの医学部には、研究室研修というコースがあり、約1年間にわたり学部生が研究を手伝ってくれます。
その子たちにお願いして、700以上の日本薬草抽出物を癌細胞に投与し、その増殖を抑える成分を同定した研究です。
まあ、正直に内幕を話しますと・・・
第1段階:学生A(当時学部4年生)が前立腺癌細胞の増殖を培養条件で抑える薬草抽出物、いくつか決定
第2段階:学生B(当時学部4年生)に別の試験方法で再現性を確認させると、思ったより一致しない(まあそういうこともある)。
第3段階:それでも再現性を出してきた薬草のうち、マニアックそうなものを自分が選択
・・・ここで間違える
第4段階:共同研究先の先生がいろいろ分画を取り、学生C(First author、今学部4年生)が試験し、有効成分Jegosaponinを決定
第5段階:アポトーシスアッセイやがん移植ゼブラフィッシュへの投与試験をすると・・・どうも何か変。
第6段階:「これって、もしかしてサポニンの界面活性作用が強烈なだけじゃね?」
その後、界面活性作用について学生Cと実験をしまくり、今回のpublishになりました。
ええ、抗がん剤としては使えないと思います・・・。
まあ、Jegosaponinについてここまで解析した論文はほとんどないので、よしとしましょう!!
アクセプトされたときは本当にほっとしました。
それでもけっこうおもしろい実験しています。
たとえば、これ。
界面活性作用、つまり膜透過性の亢進をゼブラフィッシュで見るために、DRAQ7という膜非透過性の核染色蛍光色素(紫色)をゼブラフィッシュに投与して観察しています。
この蛍光色素は近赤外なので、他にもいろいろ使い道がありそうです。
共同研究の皆様、特に医薬基盤・健康・栄養研究所の皆様、ご協力ありがとうございました!!